多様性と調和 BEYOND 東京2020

東京オリンピック・パラリンピックで私たちは、日本人選手の活躍に熱狂しましたが、一方で大会開催により、トランスジェンダー、宗教、国籍、紛争など、さまざまな国際・平等問題が可視化された大会でもありました。果たして東京2020は、多様性&インクルージョンを取り入れるスポーツ界のために何をもたらしたのか?主にLGBTQ, 障がい者、ジェンダー平等の観点から、パネリストたちによる示唆に富む議論が交わされました。

くわしくは たかはし藍さんによるウェビナーのまとめコラム New Road をお読みください!

パネリストたちによる印象深いクオート(発言の中から抜粋)

生島淳さん

ラグビー日本代表ヘッドコーチを務めたエディ・ジョーンズが、多様性(ダイバーシティ)とインクルージョンについて、こう語った。

「集団というものは色々な社会経験をしてきた人で構成した方が、総和の力やレジリエンス(自己に不利益な状況を乗りこえる力)が大きくなる。エディ氏は海外からの選手も多いチームにおいて、食事の際は特定の選手で固まらず、選手同士がより多くのコミュニケーションを図れるように、誰がどのテーブルに座っているかにまで気を配っていた。多様性を日常から確保していくことが強さにつながる」。

杉山文野さん

「今回、日本人選手でのカミングアウトは0人でした。カミングアウトするアスリートが多い国は法整備が進んでいる国です。アジア全体では少ない傾向にあり、日本は開催国であるにも関わらず、オリンピック憲章にある性別及び性的指向による差別の禁止が保障されていません。法整備がまったく進んでいないまま開催に至ってしまったという、日本の現状が明らかになりました」

大日方邦子さん

「二軸ではなく、多軸で考えることの重要性」

來田享子さん

「今回、オリンピック・パラリンピック開催の是非に当たり二軸で話が展開していき、私たちが社会に求めるビジョンは何なのかという議論の場を失わせてしまいました。では、その軸をどうやって増やすのかについては、オリンピック憲章のさまざまな差別のカテゴリーに敏感になっていかなくてはいけません。そうした色んな人の立場を考えながらイメージする力を、日本の教育の場で育てていかなくてはいけないのです」

杉山文野さん

「公園のシーソーに例えると、両端にそれぞれ重たい人(強者)と軽い人(弱者)がのって傾いたシーソーを真ん中(平等)にしたい場合、あなたはどこに乗りますか?中立な立場なのでと真ん中に乗ってしまう人が多いのですが、しかしシーソーを平行にしたい場合(差別がない状況)は真ん中に立つのではなく、軽い方に寄り添わなくては平行にはなりません。マイノリティは多数決で解決はできません。真ん中にしたいのか、それとも真ん中でいたいのか。このことを、今一度考える必要があります。そして多様性の実現は、一人の反対する声の中にヒントがある。向き合い、時間をかけて、無駄に思うような議論でも、一度問題点をすべて出してとことん話し合う。多様性と効率は相性が悪く、今までの効率重視の方法では小さな声は届きませんでした。一つの答えではなく、多数の答えがあっても良いのではないかと思います」

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