「地球や社会、一人ひとりが調和している状態をいつも想像しています」

一ノ瀬メイさん(パラ水泳)

生まれつき右腕の肘から先がなく、生活のあらゆる場面で“障害”に直面してきました。

その障害を引き起こしているものはいつも私の短い右腕ではなく、

短い右腕で生きていく“社会”でした。

現役時代 「活躍することで、自分の声を届けたかった」

今までは水泳を通じて“障害のない社会”の実現に取り組んできました。

私をきっかけにイギリスのリーズ大学で障害学を学んだ母から“社会モデル”(障害や不利益・困難の原因は障害のない人を前提に作られた社会の作りや仕組みに原因があるという考え方。)について9歳の時に聞いてからは、自分の経験に加え学術的なバックアップのもと発信を続けてきました。

水泳を続けてきたのは、活躍することでメディアに出ることができる、メディアに出ればより多くの人に自分の声が届く、と考えたからです。

水泳でできることはすべてやりきったという思いから去年引退しましたが、「社会が障害を作っているならば、その社会が障害を無くすこともできる」という目的を形を変えて追及しています。

社会が作り出している“障害”。

もっと何かできることがあるんじゃないか。

東京2020のパラリンピックの延期をきっかけに、自分がなぜ泳いでいるのかを見つめなおすとともに、今まで目を向けてこなかった分野にも目を向け始めました。

気候変動や環境について調べるうちにヴィーガニズムを実践するようになり、“健康”について探求するうちにヨガと世界最古の医学であるアーユルヴェーダの資格を取りました。

いろんなことを知れば知るほど世の中には社会が作り出している“障害”が溢れていることに気が付きました。

水泳で競技力を向上させることが社会をより良くするという考えから、「もっと何かできることがあるんじゃないか」という考えが日に日に強くなっていきました。

それからは、“How to be Ethical”(どうやってエシカルに行動するか)というイベントの企画や、ヴィーガンアスリートを集めて発信の活動を行ったりと、自分にできることを実践しています。

調和、平和をすべての人が感じられる未来を。

地球や社会、一人ひとりが調和している状態をいつも想像しています。

私たち一人ひとりの中に調和が存在しているとき、対人関係にも、社会にも、地球にも調和が生まれると思っています。

自分の思っていることから言動、行動までが分離なく行えているときに調和を感じますが、それを実践できている人はどれだけいるのだろう。

どれだけの人がそれが可能な環境にあるのだろう。

調和、平和をすべての人が感じられるからこそ、社会も調和され、平和である。

そんな未来が私は見てみたいし、想像するとワクワクします。

一ノ瀬メイ Mei Ichinose

1997年京都府生まれ。1歳半から水泳を始め、史上最年少13歳でアジア大会に出場。京都市立紫野高校在学中には“全英連全国高等学校英語スピーチコンテスト”で障害の社会モデルについてのスピーチで全国優勝。近畿大学に進学後は2016リオデジャネイロパラリンピックで8種目に出場。現在も7種目の日本記録を保持。2021年10月に現役引退後は障害やヴィーガンに関する情報を積極的に共有し、自分や社会、地球にとって心地の良い生き方を体現・発信している。

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