世界初の「マイボトルマラソン」
こんにちは、服部雄一郎です。
このたび縁あって、一般社団法人SDGs in Sportsが取り組む「スポーツ界での環境活動」のお手伝いをさせていただいています。
今までまったく接点のなかったスポーツの世界のお話ですが、これが実におもしろい。
来年のパリ・オリパラが史上初の「ペットボトル持ち込み不可」の大会となると報道されていますが(詳しくは一つ前のブログを!)、今後はスポーツ界でもどんどん脱プラ・脱炭素の流れが進んでいくはずです。
「ほかにどんな事例があるんだろう?」
「日本でも取り組みが進むにはどうしたらいいのかな?」
・・・ということで、おもしろい事例やニュースなど定期的にお伝えしていきたいなと思います。
◆「世界初のマイボトルマラソン」となった湘南国際マラソン
今日ご紹介するのは、来月12月3日に第18回の開催が予定されている「湘南国際マラソン」。昨年、何と世界初の「マイボトルマラソン」として開催されたことはご存じでしょうか?
しかもこれ、<ただのスローガン>ではないんです。「すべてのランナーがマイボトルを必ず携帯」「紙コップやペットボトルでの給水は全廃」という、正真正銘の取り組み!!!
こちら、大会の公式サイトをご覧ください。
まさかマラソン大会でそんなことが可能だとは・・・ビックリですよね~。
この取り組みによって、
・ペットボトル31,500本→全廃
・紙コップ・プラカップ50万個→全廃
・フィニッシュ後に配布していたペットボトル26,000本→全廃
・ゴミ排出量87%減
・・・などなど、ものすごい数字が並んでいます。
◆提唱したのはスペシャルスポンサーのノースフェイス
先日、大会の運営主体である<ランナーズ・ウェルネス>の方にお話を伺う機会に恵まれたのですが、この構想は、大会のスペシャルスポンサーであるノースフェイス(株式会社ゴールドウイン)との話し合いの中から生まれたそうです。
どのマラソン大会でも、ランナーたちが通過したあとは夥しい数の紙コップやペットボトルが路上に散乱する光景が見られるそうで、「その風景を一変させたい」という思いから生まれたのが、この「マイボトルマラソン」という斬新なアイディア。
「すばらしい!!」と思いつつ、「ランナーの方々は大変じゃないのかな??」とも思ったのですが・・・
◆<エコ>だけじゃない、さまざまなメリットも
大会後に実施されたアンケートでは、実に86%が継続に賛成だったそうです。
このほか、「湘南国際マラソン マイボトル 評判」と検索してみると、参加者の方の生の感想がいろいろ読めておもしろいです。
・給水地点の数が大幅に増えたため、自分のペースで安心して給水できる
・散乱する紙コップやペットボトルに躓くリスクが減った
・ゴミが落ちていなくてコースがきれい
・紙コップ1杯ではそもそも水の量が足りないのでボトルだと安心
など様々なメリットを実感する声があるようで、なるほどと思いました。マイボトルへの給水も意外にスムーズだったようですよ。
ちなみにマイボトルは、腰に装着できるウェアやザックなど、ラクに持ち運べる方法があるとのこと。
もちろん、課題がゼロなわけではありません。「マイボトルを忘れた人/落としてしまう人」への対策は必要ということですし、早いタイムをねらう選手の中には「給水時に足が止まってしまう」という不満も聞かれたそうです。
でも、課題があるのは自然なこと。むしろ、これだけ大胆な取り組みが、ほかならぬ日本(←どうしても変化が苦手な国のイメージ…)で実現したことには純粋に賞賛と敬意の念を覚えます。今年の湘南国際マラソンが再びよい流れを巻き起こしてくれることを期待しています。
執筆者:服部雄一郎
翻訳家・文筆家。1976年神奈川県生まれ。元・葉山町役場ごみ担当職員。
バークレー、チェンナイ、京都を経て、高知県の山のふもとに移り住む。
妻+3人の子どもとともに、できるだけ自然に近いたのしい暮らしを志す。