パリ2024の本気度

こんにちは。井本です。

このサイトでブログを始めることにしました!

スポーツ界で環境・気候変動やジェンダーの活動をするにつれ、素晴らしい事例はたくさんあるのに、それが意外に知られていないことが多い。

さらに、「やらなければいけないことはわかっているけれど、どこから始めていいかわからない・・・」という人の実に多いこと。

そこで私たちは、もっと好事例を広めるために、ブログの形でお伝えしていくことにしました。

わかりやすく、楽しく、すぐにできそうなトピックを扱っていきたいと思っていますので、何卒お付き合いください。

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さて、記念すべき1回目は、世界が注目する、来年のパリ・オリンピック・パラリンピックの環境への取り組みです。

さすが、環境先進国フランス。模範となる取り組みがたくさんあるため、私たちもとても注目しています。

パリ2024のサイトの「環境への野心」のページを見てみると、こう書いてあります。

「人類最大の課題に直面し、パリ2024は、世界一大きなイベントのオーガナイザーとして、責任を取ります」

なんと端的で、力強い。

そして、「スポーツが環境に及ぼすインパクトを最小限にし、スポーツの持つ好影響を環境保全に利用し、スポーツと自然の関係性を変革する」と続きます。

これこそまさに、スポーツが目指すべき姿ですね。

そして、その宣言だけでなく、取り組みにも本気が表れます。

  • 大会が生み出す温室効果ガスを過去大会(2012年ロンドン大会が基準)に比べ、半減(ベースラインCO2 3.5百万トン。目標CO2使用量 1.5百万トン)

  • 施設インフラの95%は既存のもの、または仮設を使い、新規の建設はその後継続して使われるもののみ

  • 大会で使用するエネルギーは100%再生可能エネルギー

  • どうしても出てしまう観客の移動にかかるエネルギーなど(スコープ3)のCO2排出量をオフセット(埋め合わせ)をする森林や海洋を保護・回復するプロジェクトは2021年から開始されている

  • 大会後、簡単に廃棄される材料は必ず再利用する

  • 競技会場へはペットボトルの持ち込みは原則禁止となり、マイボトルを持ち込まなければいけない。マラソン競技の給水所では、再利用可能なカップを使用する

  • オリンピック公式スポンサーのコカ・コーラ社は、再利用可能なガラス瓶や、200を超えるソーダファウンテンを設置して飲料の提供をする

  • 食事提供に使われるシングル・ユーズ(使い捨て)プラスチックの50%を削減

  • 脱炭素、生物多様性、サーキュラー・エコノミー、エネルギー、飲食、数値、仮設建設、イノベーション、変革の管理の9つの分野の人の専門家からなる「大会環境変革委員会」を設置し、対策を検討。

  • オリンピックとパラリンピックの30日間で、計1300万食を提供するそうです(!)。これは、例えば、サッカーW杯10大会分に相当します。これだけの食を提供する際、生産・流通・廃棄過程においてものすごいCO2が使われますよね・・・。このCO2を抑えるために、平均的なフランス料理に必要なCO2量を半減した食事を提供するそうです。具体的には、菜食(ヴィーガン食)を推奨したり(肉、特に牛肉は、生産過程で相当量のCO2を排出します)、季節のものに限ったり(保存や加工のエネルギーを軽減)、肉や牛乳の購入源もフランス国内に限ったりしています(地産地消)。そうすることによって、移動にかかるエネルギーを抑え、CO2排出量を削減しています。そんな中でも、国の誇りであるフランス料理を一流のシェフによってしっかりと提供する用意があるそうです!

そして対策は、大会に関することだけではありません。しっかりとレガシーを残すために、以下の取り組みがすでに始まっています。

  • <Coach Climate> (気候コーチ)

    フランスでは毎年、250万のスポーツの大会が開催されるそうです。これらスポーツのイベントが環境・気候変動に配慮できれば、とてつもない変化を起こせるはず!そこでパリ2024 組織委員会は、CO2を出さないようにするノウハウを伝授 - まずはフランス国内のスポーツ団体に “Coach Climate” というフランス語のツールキットを提示(いつか必ず日本語に!)。ここには例えば、「スポーツ大会はできるだけ公共の交通手段でアクセス可能な場所で行う」とか、「大会での食の提供では菜食のオプションを増やす」とか、「エネルギー供給はできるだけ石炭火力を使わないものにする」とかのヒントが書いてあります。このツールキットは、大会後に他の言語に翻訳されるそうです。

すごいなあ・・・。

これが世界のスタンダードになれば、スポーツも環境課題の解決にかなり貢献ができるのではないでしょうか。そんなモデルになる取り組みで、勇気が湧いてきます。

私たちも、これが日本のスタンダードになるように、できることを一緒に考えていきましょう!

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