スポーツ報道とジェンダー平等
東京オリンピック・パラリンピックで、組織委員会のジェンダー平等推進チームのアドバイザーとして、主にこの「表象」(どう映るか)の観点で、日本のスポーツ報道とジェンダーの問題に疑問を呈してから、早1年強。
久しぶりにこのトピックでお話しする機会をいただきました。
マスコミ倫理懇談会全国協議会全国大会、通称マス倫で、マスコミの方々がそのあり方を議論される場ですが、「ジェンダー平等」が分科会の一つになったのは初めてだったそうです。
その分科会の中でスポーツの話題を語る人に抜擢され、多くのマスメディアの代表者の方々を対象にプレゼンをさせていただきました。
お話した内容は、以下の3点です。
東京オリンピック・パラリンピックでのジェンダー平等の取り組み
IOCの「ジェンダー平等、公平性の確保のためのポートレイヤル(表象)ガイドライン」
日本スポーツとジェンダー学会 東京オリンピックジェンダー表象研究プロジェクト「東京2020大会 テレビ報道のジェンダー表象分析 」
スポーツ報道のジェンダーバイアスについて。
そんなことないよ、ちゃんと女子アスリートも報道されてるよ、と思う人もいるかも知れませんが、調査を見ると一目瞭然です。
メディアも視聴率、購買率が大事なんだから、ビジュアル重視は仕方ないと思う人もいるかも知れません。
でもスポーツ報道は、ジェンダー規範やステレオタイプ(固定観念)の形成に大きな影響力を持っています。
女性アスリートのかっこよさ、逞しさは、「女らしさ」の固定観念を打ち破るポテンシャルが大いにあります。
ジェンダー平等の社会変革にスポーツが貢献できる、そんなスポーツ報道を期待します。
メディアの方々だけに意識改革を期待するわけではありません。
スポーツ界も、アスリートたちと競技団体がその競技の映され方をきちんと議論し、一過性の人気ではない、長期的な戦略を持たなくてはなりません。
その競技をきちんと観てくれるコアなファン層獲得のための戦略が必要だと思います。
文責:井本直歩子