学生レポート 講義#01

気候変動の基礎知識、エネルギー政策と

スポーツにできること

  • 講義ポイント/サマリー

世界の地球温暖化はここ数十年で深刻な問題となっている。2024年も観測史上最も高い水準の気温が記録されており、水温もまた同様だ。国連事務総長が緊急行動を呼びかけるなど、地球温暖化はこのまま放っておくことのできない喫緊の問題と言える。パリ協定では世界の平均気温の上昇を産業革命以前と比較して1.5℃に抑えるという目標が示されている。
これからのアクション次第で地球温暖化の危機的状況を変えることができる。そのための一番の方法は地球温暖化の最大の原因である温室効果ガスの排出量を抑えることだ。温室効果ガスの大半を占めるのは二酸化炭素であるため、二酸化炭素を大量に排出する化石燃料の利用を控えることが必要不可欠である。
しかし私たちが省エネを心がけるなど地道な取り組みだけでは目標には到底及ばず、日本の化石燃料やエネルギーを大量に使用する今のインフラシステムを変える、システムチェンジに取り組まなければならない。
しかし日本政府が打ち出している気候変動対策は脱化石燃料ではなく既存のインフラにイノベーション開発していくという方法で、基本的な構造を変えていくという形ではない。これではパリ協定の目標を達成することは厳しいと考えられている。最も日本の気候変動対策の国際評価はかなり低いのが現状だ。
政府だけでなく、日本企業が取り組む地球温暖化対策も1.5度目標には到底届かない整合性の低いものが多い。実際に効果のある取り組みを実践しなければ意味がない。
では二酸化炭素排出量を減らすために具体的にどのような領域でシステムチェンジをしていく必要があるのか。具体的には四つの領域で根本的な改革が必要であると言われている。①エネルギー領域:使うエネルギーを少なくする②住宅・建築物領域:化石燃料を使用しない建物にする③運輸領域:ガソリン車の使用をやめる④食・生産消費領域:食糧消費のあり方を変える。そしてこれらの領域にスポーツがどう関わり、貢献できるかを考えていく必要がある。

  • 同世代に伝えたいこと

初回の講義を聞いて、まずはこの深刻な状況を同世代の仲間に限らず、全ての人に知って欲しいと強く感じた。深刻な環境問題が引き起こす異常気象は私たちの生活に密接に関係しているにも関わらず、私たちはどこか他人事になっている。これからを生きていく私たちがこの問題に危機感を持って、そして一刻も早く取り組まないと取り返しのつかない未来になってしまうのだ。暑いと言っているだけでは何も変わらない。気候変動というと世界規模の大きな問題に感じるかもしれないが、実は私たちの生活に密接に関係している問題だ。なぜこんなに異常な暑さが続くのか、なぜ突然のゲリラ豪雨が増えたのか、なぜ災害をもたらす台風がこんなにも頻発しているのか。ぜひ「なぜ?」の気持ちを持って知ろうとしてほしい。そして私たちの考えや行動でこの国、この世界の未来は変えられると思う。

  • 感想

現在世界で起きている環境問題がこれほど深刻なものだとは認識していなかった。環境問題、地球温暖化、異常気象、SDGs、カーボンニュートラル、持続可能な社会、様々な言葉が叫ばれる現代だが、それぞれの言葉が何を指しているのか、そしてその状況やその深刻さを正しく理解している人は少ないと思う。その原因として上述の様々な問題について適切に情報発信がなされていないからではないかと私は考える。私自身も今回の講義で初めて、世界で起きている異常気象がいかに深刻な事態に陥っているかを知った。
さらに政府など国が発信する気候変動などの環境問題に関する情報はいまいち国民に伝わっていないと思う。これは日本の政治体制や政治に対する不信感、国民と政府の間に大きな溝があることに起因するのかもしれないが、とにかく政府が発信する情報が国民に伝わってきていない。その情報が例えどれだけ深刻さを伝える内容だったとしてもこちらにそれが十分に届いてなければ意味がないのだ。だから国民は本当に世界で起きている深刻な状況を知ることができず、誰かがなんとかしてくれるといつまでも他人事になってしまっているのだと思った。

  • 学生レポーター:酒井優実/中央大学商学部

中央大学商学部国際マーケティング学科3年に在籍しております、酒井優実と申します。高校時代の野球部マネージャーの経験からスポーツの試合を支える運営に興味をもち、大学ではスポーツビジネスを専攻しています。昨年度はスポーツチームと提携して地域課題の解決と集客の両立を目指したイベント企画・運営を行っていました。また今年の2月には世界のサッカーリーグでクラブ経営に最も成功していると言われるドイツのブンデスリーガの二部に所属するフォルトゥナ・デュッセルドルフにおいて一週間のスポーツビジネス研修に参加しました。現在は所属ゼミにおいてプロスポーツチームの社会貢献活動が地域住民にどのような影響を及ぼすかに関する研究などスポーツビジネスをテーマに研究に励んでいます。