【イベントレポート】Sport Positive CEO Claire Poole氏来日記念 日本ラグビー協会 x ゴールドウイン x SDGs in SPORTS 勉強会

 1月26日、世界中のスポーツ業界のサステナビリティ推進を牽引する英国発のプラットフォーム Sport Positive の創設者でCEOの Claire Poole 氏が初来日し、公益財団法人日本ラグビー協会(JRFU)、株式会社ゴールドウイン、SDGs in SPORTSの共催で合同勉強会が開催されました。

地球温暖化の現在の状況、世界のスポーツ界におけるサステナビリティの最新動向や、国際競技団体・プロリーグが取り組む具体事例が共有され、日本ラグビー界における今後の可能性について活発な意見交換が行われました。

 日本の猛暑は地球温暖化の影響により、発生リスクが約34倍に

 

まず最初のセッションでは、東京大学大気海洋研究所 極端気象アトリビューションセンターの高橋千陽特任助教が、「気候変動と日本の異常気象」について講和をしてくださいました。

 

高橋先生は世界の平均気温の変化やその影響のみならず、ここ数年の日本の異常な高温についても、その原因を説明。北日本の高温は、地球温暖化の影響により、それが起こらなかった場合と比べ、発生リスクが約34倍に高まっているという研究データが示されました。そして、温暖化の抑制がなされなければ、日本の猛暑、豪雨、洪水などは今後も激甚化が予想されると締めくくりました。

  

世界のスポーツ界で進む“標準化”

 

続いてClaire Poole氏の基調講演では、欧州サッカーや北米リーグを中心に進む「気候対応の可視化」と「目標設定の標準化」の重要性について強調し、さまざまな企業連携によるビジネスケースを示しました。

 

まず説明されたのは、「なぜスポーツ界がこの問題に取り組むのか?」という点。「スポーツは世界の共通通貨」。言葉や文化、宗教などの壁をすべて超えてつながることができます。世界中でスポーツ業界の規模は増幅し、現代においてアスリートたちは、政治家やミュージシャン、俳優等に優る影響力を持つ、歴史上の人物となっている、とプール氏は強調。

 

この影響力を駆使し、国際スポーツ界はいま、気候変動という人類の歴史上最大とも言える危機に、一丸となって取り組んでいます。主要クラブ・リーグ300団体が、国連がリードする『スポーツ気候行動枠組み』に署名し、

・温室効果ガス排出量の測定

・科学的根拠に基づく削減目標の設定

・年次レポーティングの公開

を実行しています。現時点での日本での署名団体は日本ラグビー協会を含む4団体。

 

欧州では、UEFAやプレミアリーグ、ブンデスリーガやフォーミュラ1、フォーミュラEなど多くのクラブやリーグが先行し、スポーツ団体が企業と連携し、地域社会における気候アクションのハブとなる動きが広がっています。ラグビー界も然り。ワールド・ラグビーの強力なリーダーシップのもと、ワールドカップ大会を始めとしたラグビーの興行主やクラブチームは、将来にわたって持続可能なラグビーの定着のために行動を起こしています。

 

プール氏は「スポーツは文化的影響力を持つ存在。だからこそ、気候変動対策のための行動の可視化が社会へのメッセージになる」と語りました。

 

プール氏の講義の後は「スポンサー共創事例」「効果的なコミュニケーションの事例」などについて、多くの質問が寄せられ、関心の深さが伺えました。 

 

日本ラグビーの次の一歩

 

勉強会後半では、日本ラグビー協会とゴールドウイン社からの参加者が現状、課題、今後必要なアクション等について話し合い、活発な意見交換が繰り広げられました。今後取り組み得るテーマとして、

  • 組織内の体制

  • 試合運営における環境配慮

  • スポンサーとの連携による共同アクション

  • ファン参加型のサステナビリティ施策

  • 国際大会との連動

 

などが議論されました。

 

参加者からの感想は以下のとおり。

「気候変動の実態の学術的な基礎的内容もあり勉強になった」

「それぞれの団体で何となく危機感を持っているが、何をどうやって進めるかについては、更に議論を深めること、連携が必要なことが理解できた」

「マインドセットの転換の話が印象的だった」

「直接的にglobal warmingを伝えなくても、自然にスポーツに関わる人たちを巻き込んで結果として気候変動、CO2削減につながっていく」

「誰もが大気汚染や異常気象への不安を抱きつつも、環境配慮を単なる義務のように押しつけてもなかなか響かないのが現実であり、そのような中で観戦者へのサービス向上や機運醸成へと繋げていくかという話が印象に残っている」

 

  

今回の勉強会は、日本ラグビー界が国際潮流と本格的に接続する第一歩と言えます。

 

重要なのは、単発の学びで終わらせず、継続して次に繋げていくこと。

プール氏は言います。

「皆さんは今日、ここに集まって、学び、議論している。これがとても重要な一歩で、とても価値があることです」。

すでに「スポーツ気候行動枠組み」に署名し、温室効果ガス排出量を算定・レポートしている日本ラグビー協会。今後は具体的な戦略・目標設定やCO2削減のアクション、スポンサーと連携したファン参加型の取り組みなどどこまで進められるかどうかが期待されます。

 

 

文責:井本直歩子(SDGs in SPORTS)

 

 

今回の取り組みは日本財団の助成事業の一環で開催されました。

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